笠寺観音の正式名です「第三番札所　天林山笠覆寺」

　御詠歌

自らは　濡れつつ吾に　おほいする　あまのはやしに　笠はくちせじ。

「雨ざらしの尊像に笠をかぶせた心優しい娘」涙がでますな。

ある書物によると　通称笠寺観音。正式名を「天林山笠覆寺」といい。尾張四観音の一つだそうな。

昔、昔、その昔の天平５年（７３３）呼続浜という所に、桂旦国誉山の霊木が漂着し。この霊木が放つ霊光を見た人は病気を患ってしまったそうな。

ある日、近くに住んでいた禅光上人は不思議なる夢のお告げを受けたそうな。

その霊木で、十一面観世音菩薩像を刻み、寺を建立し霊像を安置して、天林山小松寺と称したそうな。

がその後、寺は荒廃し、堂宇は崩壊、本尊は野中に立って雨露にさらされながら、200年の月日が流れて行ったそうな。

鳴海長者太郎成高という者の家に、ある一人の娘が仕えていたそな。

長者の妻はその娘の美しさをおおいに妬み、朝夕の草刈りやら、潮汲みやら、それはそれは酷く、雨の日も笠を与えず、牛馬のように酷使されいていたそうな。

その、哀れで、恐ろしい光景を目のあたりにしたある村民がその美しい娘に笠を与えたそうな。

信仰深いその美しい娘は、その笠を本尊に覆い「人我に笠を与ふ、我歓喜にたえず、我また是れを世尊に供養し奉る。ねがはくは、大慈大悲我が行く末を救い給え」と祈念し、本尊を雨露より守ったそうな。

その後、関白藤原基径の子、兼平中将東国下向のおり、成高が家に宿どり、その美しい娘の非凡なるを見て、自分の妻として迎えたそうな。

此を玉照娘というそうな。

延長８年（９３０）兼平公は婦人と共に、下向し現在の地に仏殿坊舎を建て、大慈大悲の功徳を末代までも、伝へんことを思い、婦人が本尊に笠を覆えたる縁をもって寺号を笠覆寺と改称し、田畑数百町を寄進した。以後真言密教の道場と栄えたそうな。

平安時代を代表する仏像である十一面観音像、尾張三名鐘の一つである倉時代の梵鐘、芭蕉ゆかりの春雨塚、千鳥塚、宮本武蔵の碑などがあり真言密教の道場で、たいへんに由緒あるお寺なそうな。